第27回  3−4という守備フォーメーション


こちらはディフェンスライン3人、ラインバッカー4人のフォーメーションです。
3−4(さん・よん守備)と言われます。
プロでは4−3か3−4が普通で、併用は殆ど無いです。(併用はかなり難しいので)
今まで3−4があるのに触れないまま4−3で守備の説明をしてきたのは、
いきなり3−4だと複雑すぎるからで、なおかつ4−3とは考え方がまるっきり違います。


3−4はディフェンスラインが3人なので、後ろに8人います。
1人をブリッツに使っても7人残るので、1人なら何の問題も無くブリッツが出来ます。
ラインバッカー1人のブリッツに限っても4通りありますし、
残り7人のゾーンの割り当ての種類を考えると、作戦の数は物凄く多くなります。
つまり、ブリッツと多様性で迷わせること、それが3−4の持ち味で、なおかつ最大の長所です。
特にプロはパスが多いので、QBを迷わせる3−4守備の威力は絶大です。


4−3との併用が出来ない理由は色々ありますが、最大の理由はディフェンスエンド(LEとRE)の役割が
4−3とは根本的に違う事です。4−3のディフェンスエンドはスピードで振り切ることが重視され、
ディフェンスライン4人だけで5人のブロックを崩しきらないといけません。


それに対し3−4のディフェンスエンドはディフェンスタックル(DT)を少し高速化したような感じで、
正面から押し合って勝つことが求められます。
「オフェンスラインと押し合って、ラインバッカーがブリッツで突っ込むコースをあける」
「5人のオフェンスラインを3人で押して、他の選手のブロックをさせない」
極端な話、3−4のディフェンスラインの役割はこの2つであって、
ディフェンスライン本人が独力でラインを崩しきる事は求められてません。
まあこんな具合なので、3−4のディフェンスエンドと4−3のディフェンスエンドを両方こなせる人間はまずいないですねえ。


もちろん欠点もありまして、押し合いを本職とするディフェンスラインが3人であるため、
中へのランに対応するのに、あらかじめラインバッカーを前に出しておくなどの先読みが必要な事、
ランの先読みが必要という事はパスも先読みしないといけないので、読みが外れるときつい事、
作戦の種類が多いという事は暗記するのが大変で、機能させるのが大変な事、
ラインバッカー4人だけでなく、ディフェンスラインにもいい選手をそろえてないといけないので
(3−4でディフェンスラインが弱いとラン出され放題になります)
選手をそろえるのが大変でお金がかかりすぎる事、とたくさんです。


個人的には3−4が機能するなら4−3より強いと思ってますが、
3−4を機能させるのは4−3を機能させるより5倍くらい面倒です。
ハイリスク・ハイリターンですねえ。


とりあえずまあ、守備編はこんなところでおしまいです。